解剖速度

僕の中の君は奥行きがなくてぬるぬると動く時だって側面は見えず時にキュビズム。ピントの合わない目は皮膚に縫い付けられ幾分か溶け込み真ん中にアラザンがひかるとき生きているかもしれないとようやく希望的観測がゆるされる。君の手は見たことがないからかわりに僕の手がつけられている。足の甲のあおい血管が足首から太ももへと伸びて2匹のからみつく蛇のよう。罪の意識は何よりも気持ちよくてそのためだけに君はこの世界にうまれおちたのだ。